心と痛みの関係―扁桃体が握るカギ

慢性痛と扁桃体の関係とは?

長く続く「慢性の痛み」は、ケガや病気の治療が終わっても消えないことがあります。このような痛みの背景には、脳の「扁桃体(へんとうたい)」という部位が関わっていることが近年わかってきました。

扁桃体は、感情、特に「恐怖」や「不安」に強く反応する脳の中心です。ストレスや不安が続くと、扁桃体が過敏になり、わずかな刺激にも「痛い」と反応しやすくなるのです。つまり、実際には身体のダメージがほとんどない場合でも、脳が痛みを「記憶」し続け、痛みが続いていると錯覚してしまうことがあります。

たとえば、腰痛や頭痛が長く続いている人の脳を調べると、扁桃体が通常よりも活発に働いていることがあります。これは、痛みそのものだけでなく、「また痛くなるかもしれない」という不安が、扁桃体を刺激しているからだと考えられています。

痛みをやわらげるためには?

このように、慢性痛をやわらげるには、扁桃体の「過剰な反応」を落ち着かせることが大切です。そのために注目されているのが、「マインドフルネス瞑想」や「深い呼吸法」、「認知行動療法」といった、心の状態を整える方法です。これらの方法は、脳の反応を穏やかにし、痛みの感じ方を変える助けになります。

まとめ

慢性の痛みは、体だけでなく「脳」に原因があることもあります。特に、感情をつかさどる扁桃体が関わっていることで、痛みが長引いたり強く感じられたりするのです。心を整えることが、痛みの改善につながるかもしれません。薬だけに頼らず、心と脳にも目を向けてみましょう。