常に付きまとう不安やイライラに効く運動の力

運動はメンタルにも効く?

気分が落ち込んだとき、「とりあえず体を動かしてみよう」と言われた経験はありませんか?実はこのアドバイス、科学的にも理にかなっています。運動は、筋肉や心臓に良いだけでなく、私たちの心にも直接影響を与える力があるのです。

特に注目したいのが「有酸素運動」。ウォーキングやジョギング、サイクリングなど、軽く息が上がる程度の運動が、メンタルの安定に深く関わっていることが分かっています。

有酸素運動と呼吸の秘密

有酸素運動を続けることで、私たちの心肺機能は少しずつ鍛えられていきます。心肺機能が高まると、同じ動きをしても呼吸数が少なくて済むようになります。つまり「少ない努力で、たくさんの酸素を体に取り込める」状態になるのです。

呼吸数が減ると、体は「落ち着いている」と判断します。その結果、交感神経の過剰な働き(不安や緊張の原因となる自律神経の興奮状態)が抑えられ、副交感神経が優位になり、心がリラックスしやすくなるのです。

不安を抑える「呼吸の質」

例えばストレスがたまっているときや緊張しているとき、人は自然と呼吸が浅くなりがちです。これは交感神経が優位になっている状態。逆に、呼吸が深くゆっくりしているときは、副交感神経が優位になり、リラックス状態に近づいています。

有酸素運動は、この「呼吸の質」を高めてくれるトレーニングでもあります。運動を習慣化することで、普段から自然と呼吸がゆったりと安定し、心も落ち着いた状態を保ちやすくなるのです。

まとめ

心の不調を感じたとき、「運動なんて無理」と感じるかもしれません。でも、ほんの10分の散歩でも、体と心には確かな変化が生まれます。有酸素運動を続けることで心肺機能が高まり、呼吸が深く安定するようになり、自律神経のバランスが整っていきます。

つまり、運動は心を落ち着ける“内なる処方箋”。心がざわついたときこそ、深呼吸をしながら体を動かしてみる。たったそれだけで、少しずつ心が軽くなっていくかもしれません。