股関節の内旋が歩行をスムーズにする理由

倒立振り子運動と歩行の仕組み

歩行は単なる足の前後運動ではなく、「立脚フェーズ」と呼ばれる足が地面に接している時間に、多くのエネルギー効率の工夫が詰まっています。特に、人の歩き方は“倒立振り子運動”とよく例えられます。これは、地面に立つ脚を軸にして体を前方へ振り出す仕組みで、振り子のように重心を移動させることで、少ない力でスムーズに歩けるという特徴があります。

立脚フェーズと股関節の内旋

立脚フェーズの中で大切な役割を果たすのが「股関節の内旋」です。足が地面について体重を支えるとき、股関節が軽く内側へ回る動きが起こります。この動きによって骨盤が自然に前に進み、反対側の脚がスムーズに振り出されるのです。もし股関節の内旋が十分に起こらないと、歩幅が狭くなったり、脚の動きがぎこちなくなったりすることがあります。結果として、膝や腰に余計な負担がかかりやすくなるのです。

股関節内旋と歩きやすさの関係

股関節の内旋は「次の一歩を出しやすくするバネのような役割」を担っています。股関節が内旋することで骨盤が前に回転し、重心がスムーズに移動します。この連動があることで、歩行は効率的になり、無理なく前進できます。逆に、この内旋が制限されると、体は代わりに腰や膝をねじって歩こうとするため、疲れやすく痛みの原因にもなりやすいのです。

まとめ

歩行の立脚フェーズは、倒立振り子運動のように効率的な重心移動を実現しています。その中で股関節の内旋は、骨盤の回転と次の一歩をつなぐ重要な動きです。股関節の内旋がスムーズに働くことで、歩きやすさや安定感が生まれ、余計な負担を防ぐことができます。歩きやすさを保つには、股関節周囲の柔軟性や安定性を意識してケアしていくことが大切です。